人生100年時代をサポートするFP事務所

株式会社エフ・ポート

投資助言業 四国財務局長(金商)第24号

香川県高松市太田下町2343番地5

受付時間:9時〜18時 土曜日: 9時~14時 
日曜日・祝日は事前の予約となります。
まずはお気軽にお問い合わせください。

 

相談受付中

お気軽にお問合せください

がん保険を考える

 今年のノーベル生理学・医学賞に京都大学名誉教授の本庶佑氏が選出されました。本庶先生は免疫の司令塔となるT細胞表面に「PD-1」という分子を発見しました。がん細胞はこのPD-1と結合する「PD-L1」という分子を持っていて、この両者が結合することでPD-1細胞の免疫攻撃を抑え、がん細胞自身が増殖する(がんが進行する)というメカニズムになっています。がん細胞より先にPD-1に他の分子を結合させることができれば、T細胞は免疫が抑制されず、がん細胞を攻撃することができ、結果、がん細胞が排除されることになります。これに基づきできた薬(免疫薬)がオプジーボなのです。これによりがん治療に免疫治療という新しい道ができました。

 現在、日本人の2人に1人がなると言われている「がん」。しかも患者の3割を働き盛となる現役世代(20~65歳)が占めています。治療の発展は日進月歩、本庶先生の研究が実を結んだように様々な治療法や薬が開発されています。しかし、がんの発症する時期は年齢に関係ありません。現役世代となれば、子育てやマイホームのローンなどお金も忙しく、がん治療のために資金を用意する時間の余裕がない世帯がほとんどと思われます。その備えとしてがん保険という選択肢が有効な手段と思われます。特にがん家系(近い親戚にがんで亡くなった方や罹患した方がいる)の方には「転ばぬ先の杖」となるでしょう。ここで、覚えておいて欲しいのが『保険は加入した時の約款がすべて』ということです。

 保険加入時に手渡される(近年では電子交付もふぃえていますが)ご契約のしおりや約款。分厚く、書いてある文字も小さいので読んだ経験のある方は非常に少ないと思います。が、これらは契約上非常に重要になります。というのが、約款に書かれていないことは対象外となるからです。

 ほとんどのがん保険は給付の対象となる治療が手術、放射線治療や抗がん剤(ホルモン)治療となっています。そこに特約で重粒子線治療や陽子線治療などの先進医療が付加されます。ここで気付いた方も多いと思いますが、『免疫』という文字が見られません。つまり、現在販売されているがん保険は免疫療法、オプジーボには対応していない、保険金支払対象外ということなのです。何故ならオプジーボは保険適用外となるからです。また、先進医療にも該当しません。

 オプジーボ(一般名ニボルマブ)は、本庶先生の研究を受けて2014年9月に小野薬品が発売した治療薬です。従来のがん治療法であった局所療法(手術や放射線治療)や抗がん剤での治療とは異なったアプローチで画期的とされました。そのため値段も高額で発売当時は1瓶(100㎎)約73万円でした。その後、36万円→27万円と徐々に引き下げられ、今年の11月からは17万円となります。それでも体重60㎏の人が摂取する量は1回180㎎で、1年間で約1,000万円に費用がかかる計算になります。安くなったとはいえ、まだまだ高額な薬なのです。

 高額な薬とは言え、がんを患っている人は藁にも縋る気持ちでオプチーボを求めてくるでしょう。保険適用外でも、高額でも使いたくなるのが人情です。保険適用であれば高額療養費制度が使えるので1か月8万円程度で済みます。幸運なことにオプジーボは高額療養給付制度の対象になりますので超高額な費用になる可能性は少ないと思います。

 まだ数は少ないものの、保険適用外診療を保障する保険はあります。アクサ生命の「患者申出療養サポート」特約がそれになります。この特約を付加することで、保険外併用療養費制度における「患者申出療養」を利用した技術料が保障される場合があります。「患者申出療養」とは、「未承認薬などを迅速に保険外併用療養として使いたい」という困難な病気と闘う患者の思いに応えるため、患者からの申出を起点とする仕組みとして2016年4月に創設された制度です。ただし、この制度の背景には治験としてデータの収集を目的としている側面があるので、利用するには国に対して利用申請を行い、認められなければなりません。費用も患者負担となります。アクサ生命の患者申出療養サポートは、申請が認められた場合にその技術料を1回の療養につき1,000万円限度、通算2,000万円限度として保険料を支払う特約です。特約保険料は400円/月となっています。この様な特約はまだまだ少ないですが、徐々に増えてくると考えられます。オプジーボも保険適用となれば治療薬としてがん保険で対応できるようになりますが、今しばらく時間がかかりそうというのが実状のようです(保険給付の対象となる治療に免疫治療が含まれないとその対象とならないという意見もあります)。

映画ロッキーシリーズの最新作?「クリード」で、ロッキーはがんに侵されます。あのロッキー・バルボアですらがんにかかるのです。ロッキーががんを克服するかは今後の展開でwかると思いますが、ロッキー世代として老いたリッキーを見るのはショックでしたが、理解できない展開ではありませんでした(がんに侵されようとロッキーはロッキーでした)。冒頭に書いたように医療技術は日進月歩です。それを踏まえ、各保険会社も医療保険やがん保険を改良し販売しています。これらの保険は自動車と同じように一定期間で買い替えが必要と思われます(自動車ほど頻繁にする必要はありません)。保険のために支払う保険料は決して安いものではありません。ですが、必要な時に必要な治療に対応できない、となれば無駄なお金を払っていたことになります。本庶先生の受賞記念にがん保険を見直してみてはいかがでしょうか。